エンジンノイズ
- tomohisa kumagai
- 2022年5月24日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年7月17日
(少し以前の話。)鈴鹿サーキットファン感謝祭を見てきました。
本田宗一郎氏現役時代の、第一期ホンダF1のデモ走行があり、メインストレートを(恐らく)全開で走らせていました。ウイングが登場する以前の葉巻型のF1カー、静的な展示品としては時々拝見しますが、エンジンが掛かってしかも鈴鹿を走るというのは貴重な機会だったと思います。
半世紀以上昔の1.5Lのエンジンで、広い鈴鹿のメインストレートを駆け抜ける雄姿を見て、スピードが速いとは思いませんでした。
しかし、驚いたのがその音。キレのいい、速そうな音。一言で形容するなら「激しい音」。そう思いました。目隠しして音だけ聞いたら、現役のクルマと勘違いしていたと思います。ちなみに、シリンダーはV12です。(これでバリバリの「いい音」を想像してください。古めかしい感じは一切無しです。)
それで、観客席でこれを目撃したファン(私含む)は、このエンジン音を触媒として、このF1カーの現役時代に思いを馳せ、当時のエンジニアやF1レーサー、あるいはF1レースに思いを馳せたのでした。「浪漫」という言葉とはだいぶ趣の異なる、「熱く激しいもの」がそこにはありました。
「エンジン音」というのは本来、ノイズであり、無用の長物ですが、この音無くしては、このデモ走行から感じるものは全く異なっていたことは間違いありません。仮に動力源がモーターだったら、「昔のクルマだからそんなに速くはないのね」で終わってしまいそうです。
昔MT車を運転していた時は、シフトアップもシフトダウンも、エンジン音を通じて(タコメーター注視できないので)判断する部分が大きかった。この点で、全く音がしないエンジンがあったとしたら、MTでは扱いずらいのでしょうかね。(でも動力源がモーターだったら、そもそもシフトチェンジ自体が不要でしょうから、それはそれで完結。)
本来不要なノイズによって、ゼロ回転付近でトルクが得られないという欠点を補うギヤチェンジを、助けてくれる。
本来不要なノイズが出ることで、クルマの現役引退後も、後世の人々に、往年の熱い思いを届けてくれる。
この話、落ちはありません。(これだからエンジンは良いと言うつもりはありません。ノイズはノイズ。)
日頃、電動化への強い時代の流れの中で仕事をしている自分が、休日に少しわき道にそれたところで体験したささやかな感動でした。
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