MiniCondaで始める科学技術計算
- tomohisa kumagai
- 2023年4月26日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年10月9日
前回(MiniCondaのインストール)の続き。
今回は、Minicondaを使って、(仮想)環境を構築からのPython実行環境の起動までを説明します。
4)環境の新規作成
Anacondaプロンプトを起動すると、カレントディレクトリの表示の手前に(base)という表示があると思います。これはデフォルトで作成されたbaseという仮想環境の中にいることを示しています。

Anacondaプロンプトでは以下のコマンドを使って、(base以外の)新たな仮想環境を自由に作成出来ます。
conda create -n env_name #最新版のPythonで環境構築
conda create -n env_name python=3.9 #Pythonバージョンを指定したい場合
以下は、作成されている環境名の一覧を確認したり、不要になったものを削除するコマンドです。
conda env list #作成した環境の一覧表示
conda remove -n env_name --all #作成した環境の削除
一覧の中から、環境を起動(baseから移る)コマンドです。
conda activate env_name #環境の起動
一番左の()内が、baseから新しい環境名に変わったことに気が付きます。

ライブラリを追加するには、ターゲットとする環境に移った上で、次のコマンドを使います。
ここで、依存のあるライブラリ(必要なライブラリ)やバージョンをcondaが整理してインストールしてくれます。下図は、Scipyをインストールした時の図。ダウンロードリストにNumpyも含まれていることが分かります。(言い換えると、Scipyをインストールするのであれば、その前にNumpyをインストールする必要がありません。)

5)環境のインポート
Conda環境は、上のように自分でライブラリをインストールする他にも、他人が構築した環境のリスト(YMLファイル)を元に構築する方法もあります。複数のPCやアカウントで同じ環境を使いたい場合に便利です。
YMLファイルの中身は(テキストエディタで開くと分かりますが)ライブラリ名とバージョンのリストです。ライブラリそのものを配布している訳ではありません。
まず、環境のエクスポート(YMLファイルの生成)は、ターゲットの仮想環境をActivateした上で、以下のコマンドを使います。file_name.ymlは出力されるymlファイル名になります。環境名と同じ名前とするのが分かりやすいでしょう。
conda env export > file_name.yml #今の環境の中身をYMLファイルにエクスポート
生成したYMLファイルを他者と共有した上で、受け取った側が次のコマンドを実行すると、同じライブラリセットがインストールできます。
conda env create -n env_name -f file_name.yml
ここのenv_nameも、元と同じ名前(file_nameと同じ名前)とすることが分かりやすいでしょう。
YMLファイルがカレントディレクトリ以外の場所に保存されている場合は、file_nameにパスを含めて指定します。
6)Spyderのインストールと起動
SpyderはPython向けのIDEです。Anacondaプロンプトにインストールして使うことが出来ます。ここでは「ライブラリの追加」で使ったコマンドを使います。
conda install spyder #pyderのインストール
spyder #pyderの起動
Anacondaプロンプトに直接spyderと打てば、起動できます。ここから先は、GUI相手に仕事ができます!

Spyderは、Variable Explolerにがわかりやすく使いやすいです。
Variable Exploleには、変数の型、size、中身などが表示される機能で、目に見えない変数の内容をprint文で確認する手間が省けます。また、プログラミングに慣れていない人にとっても、変数の挙動を理解するのにとても便利な機能です。
7)Jupyter Notebookのインストールと起動
Jupyter Notebookはウェブブラウザ上で動作するPython実行環境です。
jupyter notebookコマンドから、デフォルトのWebブラウザが起動できなければ、赤枠の部分をコピーして、好きなWebブラウザにURLとしてペーストすれば、動きます。

Chromeで表示したJupyter Note。

Jupyter Notebookの長所は、セル単位での実行しながら、グラフやドキュメントも記入した「ノートブック」を丸ごと保存できることです。
スクリプト内の機能をセル単位で分割して記述することにより、それぞれのセルごとに実行結果を表示することが出来ます。計算過程と実行結果がひとまとまりになっているので、実行結果の検討がしやすくなっています。また全体的にセルで分割されていることにより、視覚的にデータの流れが理解しやすいです。
以上2回にわたり、Anaconda・Miniconda入門でした。
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